細き川に溺れたい

   Volo equitare in unda FOSOCAUA... 細川家に関する独り言を綴るだけ

永青文庫美術館「細川家の茶道具」展に行ってきた


2023年6月某日、永青文庫美術館の令和5年度初夏展「細川家の茶道具 ー千利休と細川三斎ー」に行ってきました。

本当は6月初旬に別の用事で東京に行くついでに本展覧会も観に行こうと思っていたのに、大雨の影響で乗車した新幹線が半日以上止まり(某駅で6時間足止めをくらった)、結局出発地に引き返さらざるを得なくなり日付が変わる直前に家に舞い戻る、予定もパァになるという苦い思いをしました。。。観に行くことなく紙切れと化した舞台とコンサートのチケットは2枚・・・合計3万近くがふっとんだよね・・・(白目)

で、その後に名古屋にとあるブツ(別で記事にします)を観に行きたくなったので、東京名古屋を2日連続で訪れようと決意してスケジュールを組みなおし、リベンジ!

2度目は無事に東京に訪れることができました。(天気は良すぎてめっちゃ暑かった)


さてでは、閲覧しながら出品リストに書き殴ったメモより感想等々を羅列していきます~!

千利休と細川家 ①細川幽斎

細川幽斎(藤孝)像

観たのは前期展示の方でしたが、ホント、何回観てもいい。絵の周りの九曜紋がまた良い。

茶杓 銘 靏(細川幽斎作)

「櫂先ゆったり丸くたわめいてる」
真ん中に黒い筋。濃い目の茶色。
1548年頃、幽斎さんと兼見が茶会をひらく or 参席した記録が兼見卿記に見えるらしい。

茶杓 無銘(細川幽斎作)

櫂先の方にこちらも筋あり。(筋が入ったやつが好きやったんかな?)
嶋藤右衛門が三斎より拝領→幾人か経て細川家に戻った。
折れた跡があり、古市宗庵がうまく修理したらしい。

千利休と細川家 ①細川三斎

細川三斎(忠興)像(乾英宗単讃)

二十五年忌に養女・三が作らせた像。
讃がびっっっっしり書かれている。
マジで気難しそうな顔してる~~~~(笑) だけどいい表情ですよね。

茶杓 銘 けつりそこなひ(細川三斎作)

「ケツりそこなひ」と筒に自筆している。
〆印を刻んで墨を入れるのは三斎独自らしい。へぇ~

茶杓 銘 くろつる写(細川三斎作)

家臣に与えたものらしいが、六代の宣紀のときに戻った。

竹二重切花入(細川三斎作)

存在感すげぇ!確かに前にせりだしている。

四方釜 銘 とまや(大西浄清作)

三斎発案の釜。藤原定家の「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」の歌を自ら揮毫している。
しれっと三斎さんも文化力の高さを見せつけて来るよねぇ。
蓋の持ち手の✦もかわいい~~~

<重要美術品>瀬戸肩衝茶入 出雲肩衝

森可重が所持していた。
細川家では二代・三斎→三代・忠利→四代・光尚と受け継がれ、その後に他家へ渡るが、五代・綱利の時にまた戻ってきた。
六代・宣紀による箱書きがある。
すらっとしている。

呼継茶碗

織田有楽斎の好みで継がれたものらしい。

<重要美術品>黒楽茶碗 銘 おとごぜ(伝 長次郎作)

くろい!三斎さん好きそう!!くろい!!!

粉引茶碗 大高麗

でかい!
元は酒などをそそぐ片口だったとのこと。染みのような補修跡がある。

数寄聞書(細川三斎筆)

三斎から孫の光尚へおくったもの。
全部で500条あるらしい。・・・多っ!!!笑
おそらく右筆の手によるとのこと。
展示されていたページの左側に「利休」と見えた。

御道具付(細川忠興(三斎)筆)

豪快ないい~字!!
茶入(安国寺肩衝?)は現存している。

俊成卿定家卿両筆懐紙

徳川家光から三斎へ渡ったもの。
風帯を除き、三斎好みそのまま。渋いけど豪華。
ネイビーとゴールドのバランスがいい!!

細川家伝来 千利休ゆかりの茶道具

南蛮芋頭水指

三斎自筆の箱書きがあったのですが、めっちゃ丁寧な字じゃないか!?!?
けっこうゴツイ。

茶杓 銘 ゆがみ(千利休作)

古田織部に与えられたとされる「泪」と双璧をなす茶杓
「休ノ作」と筒に三斎が自筆している。これにも〆印がついている。
確かに右にゆがんでいる。

ゆがみ添状(細川三斎筆 平野長泰宛)

キタ――――――――!!!!
涙をこぼして嫌がりつつプレゼントする三斎さん、マジで三斎ムーブすぎるwwwサイコーww
六代宣紀の時代に、平野家より細川家に戻ってきた。
よかったねぇ三斎さんwww

<重要美術品>唐物尻膨茶入 利休尻ふくら

秀忠から三斎へ贈られたもの。
ころんとしている。くろい。仕覆はしぶい。

瓢花入 銘 顔回千利休作)

自然なゆがみが良い。

顔回添状

なんやらかんやら色々あって松井家に伝わり、七代宗孝の時代に細川家に献上された。

竹一重切花入(千利休作)

なかなかの迫力がある花入。
漆がいい感じ。

竹蓋置(千利休作)

自然なかたち。
三斎さんが好きそうだなって思った。

初公開!「花伝書抜書」紙背文書

きました!以前この記事で話題にしたやつ!!

古田織部書状(第一紙紙背)(細川忠興(三斎)宛)

”カキあげます、「ほう」ください、「御かふき」の感想を教えてくださいね。”
みたいな内容。
重然の名で署名。

古田織部書状(第ニ紙紙背)(細川忠興(三斎)宛)

”「ほう」ありがとう、今から会えませんか?”
という内容で、第一紙背と同日付け。
めちゃくちゃスピーディーなやりとりというか、即レスみたいな感じですね?ww
日常的にやりとりしまくってたことがよくわかるなぁ。
古佐助の名で署名。

古田織部書状(第十八紙紙背)(細川忠興(三斎)宛)

”小さい太刀を貸してほしい”
って内容。
重然の名で署名。
この文書が発見された時のネットニュースでも取り上げられたやつーーー!!(上記記事を参照ください)
これら3通を見ただけでも、忠興と織部のすんげぇ気安い仲がよくわかる~~!

茶カブキ記録(第十三紙紙背)

「於与一郎所」という表記あり。
与一郎呼び、かわいいぃ~~~~~!

特別展示 沢庵宗彭の墨蹟

沢庵宗彭の生誕450年にあたることから、彼の墨蹟が展示されていた。
実は細川家との縁がたいへん深い人物で、光尚・忠利宛に100通以上の書状が残っているのだ!

沢庵宗彭像(沢庵宗彭賛)

妙解寺にあった頂相。
目が細い。そして冷静沈着な人物っぽい。

細川忠利像(矢野三郎兵衛吉重筆 沢庵宗彭賛)

相変わらずのプリティフェイス忠利。童顔だよねぇ。
刀の九曜紋がよき~!

台雲(沢庵宗彭筆)

「台雲」というのは、沢庵から忠利がもらった道号らしい。
めちゃくちゃ気合入れて書いたような文字。

放下着(沢庵宗彭筆)

かすれ具合がいい感じ。

機関(沢庵宗彭筆)

細めの文字。

和歌懐紙(沢庵宗彭筆)

烏丸光広と親しかったらしい。
「冥之」というのは雅号。

細川家伝来 茶道具いろいろ

竹一重切花入 銘 恨色(小堀遠州作)

すっきり系なかたち。
「綺麗さび」らしいが、うんうん、わかる気がする。
小堀遠州作だからという偏見があるかもだけど)三斎好みではなさそうwwww

竹一重切花入(細川光尚作)

どしっと系なかたち。
祖父の影響バリバリ!!!笑

唐物茶壺 銘 頼政

三斎の代から残っている茶壺はこれだけ!!!
でかい。鵺っぽさあるかな?

唐物茶壺 銘 亀壺

乳(←耳の部分のことらしい)が亀になっている。かわいい~~
水玉っぽい、面白い。

蛤蒔絵香合 銘 磯の波

良い~~~!!!貝のかたちになってる。しゃれてる~~~

七宝烓空入

小さいーーー面白い色している。足がかわいい。

青磁香炉 銘 もしほ火

下の方がやや赤みがかってる=もしほ火、ということらしい。良き。
内箱がおしゃれ。

象牙三足香炉

八代焼。ちょっと左下がりのゆがみがある。

筒釜(大西五郎左衛門作)

蓋がしゃれおつ~~。
持手部分は蔓かな?これも良い。

平釜

三斎さんが所持していたもので、後に石河自安へ渡った。

呉州染付菱馬水指

耳の長い馬が描かれている。

耳付水指

存在感のある耳!!
耳はないけど似たようなものが松井家に伝わっているらしく、そちらは古田織部からもらったものなのだとか。

牡丹梅文堆朱茶器

牡丹=実、梅=蓋。
本来は別々の碗を組み合わせた?
かわいい。いい朱~!

円文螺鈿茶器

きれーーーーーー!素敵ーー!幾何学的。
意匠はヨーロッパ由来か?
コレ良い~~!ほしい~~~!!

御家名物之大概

細川家っぽい記録ですよねぇ(笑)

茶入茶碗写真帖

めちゃよいーーーーー!!!
家臣の所蔵品まで含んでいるのがいいなぁ。細川一門みんなで眺めてたのかなぁ。
八代重賢が関与したのかも?
貼り付けている感じがなんか良い。めちゃ分厚い。
「まさにアルバム帳といえる一冊」

<重要美術品>瀬戸肩衝茶入 銘 塞

ゆらゆらとした模様。遠州好みの仕覆。

唐物尻膨茶入 浅野尻膨

世間的(?)にはあまり重視されないが、細川家では尻膨が愛好されているらしい。
黒の模様がある。

染付草花文茶入

けっこう小さい。

黄天目 珠光天目

ゴールドのラメっぽい感じ。渋い~~

熊川茶碗 銘 山名

あんま見ないかたち。

掛分茶碗 銘 念八

28日に入手したことによる銘。
切り換えおもしろい~~。ゆがみもいい。

安南染付寿字茶碗

ベトナム製の茶碗だが、確かに日本や中国とは違う感じがある。

茶杓 銘 さかひ(古田織部作)

半分ずつ色味の違う片身替わり。
おもしろい~~

茶杓 無銘(細川三斎作)

織部のと似ている=彼の作品を認めて取り入れようとしているらしい。
三斎さんの柔軟な姿勢がわかる一品!

近現代細川家四代が手掛けた茶道具

黒茶盌 幽棲(細川護熙作)

マットな黒。端正な四角いかたち。

乾山写茶碗(細川護立絵付 永樂妙全作)

黒い色で絵付け?

鉄絵茶碗 遠山無限碧層々(細川護立絵付)

淡いオレンジ色?珍しい色な気がする。
山並みが描かれている?

竹一重切花入 面壁(細川護立作)

どっしり系のかたち。ほそかわーーーーーーー!!!

金彩梅文様棗(細川護貞絵付)

絵うまぁ・・・木の幹の感じが良い。

金彩龍文棗(細川護貞絵付)

龍の顔におとぼけ感があって、かわいい。
波が全面にあるのがいい感じ。

黒楽茶碗 夢通路(細川護貞作)

でかい。黒にうっすら赤。良い。

色絵菖蒲文茶碗(細川護貞絵付)

綺麗目。紅白の菖蒲。葉も映える。

九曜紋散釜(細川護貞作 吉羽惣與・吉羽與兵衛 鋳造仕上)

なんかかわいい九曜紋が散っている。

黒楽茶碗(細川護光作)

マットな黒。

赤楽茶碗(細川護光作)

グレーがかかったピンク?面白い色。
カビみたいなグレーの点々。

志野茶盌 忘れ雪(細川護熙作)

八角形っぽい。ちょっと縦長?いい朱。

古松唐津茶盌 老松(細川護熙作)

なんか良い。うろこ?っぽい感じ。平たい。

赤楽香合(細川護熙作)

粘土遊びみたいな雰囲気。

黒楽茶入(細川護熙作)

マットな黒。

以上!

数百年前から今日に至るまで、細川家で茶の湯が愛されてきたことがよくわかる展覧会でしたねぇ。
とにかく三斎さまの三斎ムーブがサイコーに良い(笑)
紙背文書も観れてよかった~~!
織部と三斎の仲がめちゃ気安いのがよくわかる、細川家オタクには素敵な文書でした。

一部の展示品は以下のHPで写真も紹介されていたので、気になる方は↓ご覧ください~
【開幕】「細川家の茶道具 ―千利休と細川三斎―」永青文庫で、7月17日(月・祝)まで – 美術展ナビ