細き川に溺れたい

   Volo equitare in unda FOSOCAUA... 細川家に関する独り言を綴るだけ

永青文庫美術館「揃い踏み 細川の名刀たち」展に行ってきた


2023年2月某日、永青文庫美術館で開催されていた令和4年度早春展「揃い踏み 細川の名刀たちー永青文庫の国宝登場ー」に行ってきました〜
1年ぶり?くらいの永青文庫と肥後細川庭園だったのですが、いつ行っても、こう、「細川〜〜〜〜」って空気を吸えて満足感がありますよね!

刀剣乱舞の影響で昨今では刀剣ブームがきてますけれども、細川家は戦国時代はもちろんのこと、16代の護立公が大の刀剣好きだったということから、永青文庫に素晴らしいコレクションが残っています。
そんな細川家で愛されてきた刀剣たちが一挙に公開されるってんで、もちろん喜び勇んで平日(土日比べれば人が少なそうという理由で)に予約をして、東京まで行ってきました!

せっかくなんで、出品リストにメモした内容を書きおこしておく。
さすがに全作品ではないが、9割近くの作品でメモってたwww

第1章 揃い踏み 細川護立 心酔の刀剣

<国宝>刀 金象嵌銘 光忠 光徳(花押)生駒讃岐守所持(生駒光忠

刃文のもけもけがすごい。ずんぐりむっくりしてる。護立公が母におこづかい前借り(なんと当時の月給の6倍以上!?)して買ったもの。

<重要美術品>刀 金象嵌銘 兼光磨上光徳(花押)

家令の津田氏の旧蔵品。

太刀 銘 備州長船家助

反りが綺麗

脇差 銘 備州長船経家 永享九年二月日

(刃文のイラスト書いてたw)

重要文化財>太刀 銘 守家造

刃文がもけもけ

刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定

360°ケースすげぇ!のたれがよくわかる。綱利→柏原家→護立へ受け継がれた。
「秀作」ではないが伝わってきた。直刀きれい。扱いやすそうな長さ。
(この、「秀作」ではないが延々と受け継がれてきたの、とても良いな。モノとしての価値ではなく、この刀がもつ背景事情も含めて、細川家周辺で愛されきたんだなぁ歌仙兼定

<国宝>太刀 銘 豊後国行平作(古今伝授の太刀)

美!!!!うつくしい!!!!!!直刀いい〜〜〜〜明王も味がある。刃文が細くてすぅーーーっとしてる。
入手エピソードもサイコー・・・!!!!泣ける。
(生で観るの3回目か4回目くらいなんですけど、何回見ても圧倒的「美」を見せつけられる。このうっつくしい刀が、わりと無骨というか渋い拵に入れられるの、ホントたまらん)

脇差 銘 信長

初めて観たかも?すらっとしてる。やや黒ずんだ地鉄

刀 無銘志津 金象嵌 海賊

デカイ。切先もデカイ。兼氏とは正宗十哲の1人。

<国宝>短刀 無銘正宗(名物庖丁正宗)

ずんぐりむっくりの極み。愛らしい。うすい。

<国宝>短刀 銘 則重(日本一則重)

すらっとちゃん!黒い。切先がかっこいい。「重」の字がかわいい。

第2章 肥後金工の名品 揃い踏み!

脇差 銘 大道直房入道

出水神社所蔵の「彫貫盛光」の写しとされる。すげぇ!!!こんなのあったなんて知らなかった!!!観られて嬉しい!!大道直房入道は忠興お抱えの刀鍛冶らしい。めっちゃかっけーーー。分厚い。照明に照らされた影すらいい。
(以前、熊本で彫貫盛光を観たことがあって、そのかっこよさにめちゃくちゃ感動したんだが、写しがあるなんて知らなくて、すんげぇ興奮した・・・!!!)

剣 銘 肥後住人越前守藤原国次 貞享四丁卯歳十月吉日

でけぇ!金のやつの彫もよい。

伝 林又七:九曜唐草象嵌波透鐔

又七の代名詞、布目象嵌

伝 林又七:水玉透鐔

大きいの3つ、小さいの3つの水玉があいてる。

<重要美術品>林又七:桜九曜紋透鐔 銘 又七

護立の叔父・護美からもらったもの。うつくしぃーー!センスが爆発している。

<重要美術品>林又七:霞桜文透鐔 銘 又七

護立の叔父・護美からもらったもの。

舵透鐔

無骨。忠興っぽい。鉄鐔。

重要文化財>伝 林又七:桜に破扇図鐔

朽ち果てる扇を表してる。センスありすぎ。

伝 林又七:鶴丸文透鐔

パッと見てかっこいい鐔。首に毛彫。

伝 林又七:十二瓢透鐔

淀藩・稲葉家に伝来
(細川家と稲葉家の仲を物語ってる?)

中根平八郎か:四葉透波文銀象嵌

作者と思われてる中根は家臣とのこと。余技としてつくったものらしい。
(細川家家臣、本職とは別に文化的な才能ある人がたまにいて大変興奮する。 e.g. 福田太華

伝 平田彦三:八木瓜九曜透唐草文鐔

花びらの穴に九曜紋。クラカラシ=エッチング的なやつらしい。しぶい一品。

伝 志水甚吾:曳舟図縁

人物がこまけぇー!

<重要美術品>西垣永久(二代勘四郎):田毎の月図鐔 銘 西垣永久 七十歳作之

いびつな穴=水たまり

西垣義久:馬針 銘 文化十二年乙亥二月 為志水源清春造之 西垣義久

馬針とは、馬の足に差して血を抜くものらしい

伝 初代西垣勘四郎:茸に蟹図縁頭

「フレームからはみ出した蟹の躍動感」と書いてあって笑ったw

伝 二代西垣勘四郎:萩図縁頭

こまかーい葉?花?が表現されてる

伝 初代西垣勘四郎:茸図縁、糸巻図縁 / 伝 二代西垣勘四郎:東屋に三日月図縁

西垣茂と墨書された箱に入ってたものらしい。

神吉楽寿:桐紋透唐草象嵌鐔 銘 樂壽

こまかーーーい!!「手作業とは思えない超絶技巧」と書いてあって、めちゃくちゃ同意。

神吉楽寿:武蔵野図大小鐔 銘 楽寿

おしゃれー!

清賞会記録

月に一度の談話の速記録。
(こういうのを残しているところが、たいへん細川)

刀剣小道具控

四郎作は護立公曰く「実に面白いお爺さん」

津田静一由来書、兼光受領證

「刀 金象嵌銘 兼光磨上光徳(花押)」に関するもの

重要文化財>金家:春日野図鐔 銘 城州伏見住金家

鹿モチーフ?

第3章 武家の格式 後藤家による刀装金具

紋:後藤宗乗、棹:後藤顕乗:羊図笄

もりもりの羊さん

紋:後藤乗真、哺金:後藤廉乗:牛図三所物

もりもりの牛さん

<重要美術品>目貫・笄:後藤乗真、小柄:後藤通乗:猿猴捉月図三所物

よい!すてき!!「後藤」乗真が刻んだ唯一の銘がある作品らしい。できがいいと本人も思った作品ってことか?わかる、よい!!

伝 後藤栄乗:水蜘蛛図三所物

色が面白い

小柄・目貫:後藤程乗、笄:後藤通乗:風神雷神図三所物

顔が面白い

紋:後藤程乗:頼政鵺退治図三所物

こまけーー!獅子王を下賜されるシーン。

後藤延乗:群馬図三所物

色とりどりのお馬さん

後藤顕乗:道成寺図小柄

波がこまかい

後藤家:目貫

32個の目貫!きれーー!!圧巻の金!!!魚、エビ、矢筒、龍、蛇の目九曜!!!バッタ!?

第4章 在野の金工・町彫の逸品

横谷宗与:十二支図縁頭

こまけー!おもしろい

<重要美術品>横谷宗珉:群馬図小柄

庖丁正宗の拵に付属していたもの。蹄の金がイカしてる。

横谷宗珉:獅子図小柄・目貫

縦型!!おもしれー!彫もよい!

伝 横谷宗珉:象図目貫

象の親子!

伝 横谷宗珉:仁王図目貫

タガネの跡が残る制作途中のものらしい

菊岡光行:仁王図目貫

上記の作品をもとにつくったもの

<重要美術品>奈良利寿:獅子牡丹図小柄・縁頭、獅子に蝶図目貫

牡丹がきれい

重要文化財>奈良利寿:牟礼高松図鐔 銘 利壽(花押)

表は義経、裏は日旗を掲げる源氏の郎党

土屋安親:雨下猛虎図揃金具

虎を真上から見た感じになってる。おもしろい

土屋安親:茶杓筒図小柄

遠州の「青苔」を模しているらしい

刀剣回顧談

細川家っぽいーーーーー!!!(褒め言葉)ノートにきちっとまとめられている。
展示されていた一番右のノートには、第七回のこと書かれてて「歌仙」や「三斎公」の文字が見える!!「三斎公の好みとして誠にかくあるべしと首肯されるものであった」と書いてあった!うっひょう!!子孫たる護立公が”これは三斎好きでしょうね!”って認めてくださるのサイコー!
真ん中のノートには光忠の話。
一番左は古今伝授の太刀の話でした!「祖先に対しこの一刀を得て眞に言ふべからざる喜びを威ずるのである」と・・・書いてありました・・・・ううぅ・・・・・ありがてぇありがてぇ・・・・

熊本移管品目録

行平から始まり則重、来国俊、左ページの最初は生駒光忠、兼光、歌仙、信長、庖丁などなど・・・


護立公のお写真があったのですけど、コレクションを見せておられる時の得意げな顔がすごいww
自慢の逸品たちなんだってことがよくわかります。

どこに展示されているものかメモが抜けているのですけど、目釘抜き(小さな槌みたいなやつ)にも九曜紋がついてたりして、たいへんたいへん細川家が感じられて良かった。


はい!これで出品リストのメモは以上です!

今回の展覧会は全て永青文庫に所蔵されている作品だったのですが、すごいよねぇ。
国宝やら重要美術品やら重要文化財もいっぱいあるし、そうでない品も細川家で愛されて大切にされてきたんだなって思うとただただ尊い・・・

楽しませていただきました!